暮らしと法律

【財産開示手続とは】
裁判を行って勝訴判決を得たり、離婚調停を行って養育費や慰謝料を支払ってもらう調停が成立したりしても、支払義務を負う相手方(債務者)が支払ってくれない場合には預貯金や給料の差押えなどの強制執行を行う必要があります。ですが、強制執行を行うには相手方がどのような財産を持っているのか把握する必要がありますし、強制執行を行っても一部の支払しか受けられないようなケースもあります。そこで、債務者本人に自分の財産状況を説明させる手続として平成16年に財産開示制度が設けられました。 このような経緯で設けられた財産開示制度ですが、不十分な点もありました。
【従来の財産開示制度の問題点】
法律の改正前は、債務者が裁判所の呼び出しに応じず期日に出頭しなかったり、出頭しても虚偽の説明を行なったりしても、30万円以下の過料という刑事罰ではない制裁が科せられるだけでした。そのため、債務者が裁判所からの呼び出しに応じず期日に出頭しないケースが多く、債権回収に結びつかないため、この制度の利用件数も少なくなっていました。
そこで、令和2年に法律が改正され、債務者が裁判所に出頭しなかったり、虚偽の陳述を行なった場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金という刑事罰が科せられるようになり、制裁が強化されました。
また、法律の改正前は、財産開示手続を利用できるのは、判決や調停調書などに限られており、公正証書や支払督促などでは利用できないとされていました。
今回の改正では、公正証書や支払督促なども対象に含まれました。そのため、離婚の際に養育費や慰謝料の取り決めをする公正証書を作った場合でも利用できることとなりました。
【今後について】
今回の法改正で、出頭しない場合や虚偽の説明を行った際の罰則が強化されたことで、財産開示制度が実効性のあるものになることが期待されています。相手方が支払ってくれず泣き寝入りしているようなケースでも新しい制度を利用すれば、回収できる見込みが大きくなったといえます。
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