暮らしと法律
法律家の社会( 裁判官・検察官・弁護士)のあれこれを解説します
罪刑法定主義とは、どのような行為が犯罪になり、それに対してどのような刑罰が科されるのかあらかじめ法律で明確に定めておかなければならない、という刑法の基本原則です。
この原則は、
1.何を犯罪とし、それをどのように処罰するかは国民自らが民主的に決定すべきであるという民主主義的な要請
2.犯罪と刑罰を事前に国民に対して明らかにし、自らの行為が犯罪として処罰されるかどうか予測できるようにしておかなければならないという自由主義的な要請から導かれるとされています。
先日、この罪刑法定主義を揺るがしかねない判決が言い渡されたとの報道がありました。
【法定刑を超える判決】
報道によると、東京地方裁判所において、法律上最高刑が懲役2年と規定されている犯罪に関する事件で、検察官が最高刑を超える懲役2年6カ月の求刑を行い、判決でも求刑どおり懲役2年6カ月が言い渡されたとのことです。
法律が最高刑を懲役2年と定めているのですから、これ以上の刑罰を与えることはできません。しかしながら、この事件では最高刑以上の懲役刑を言い渡したのですから、罪刑法定主義に違反する判決です。
【なぜ、このようなことが起きてしまったのか】
裁判の場には、裁判官、検察官、弁護人(弁護士)の法曹三者が立ち会っています。ですから、本来であれば、検察官が懲役2年6カ月の求刑をした際に裁判官や弁護人が最高刑を超える求刑であることに気づいて、検察官に求刑をやり直すよう求めるべきでした。
ですが、この事件では、誰もこの誤りに気づかず、判決に至ってしまったようです。
検察庁では、求刑にあたり事前の確認が詳細に行われているため、裁判官も弁護人もこれを信用して確認を行わなかったのが原因ではないかとされています。
【被告人の不利益】
この事件では、執行猶予付の判決が言い渡されたため、被告人は身柄拘束が継続するという不利益を被ることはありませんでした。
ですが、違法な判決であるため、高等裁判所で控訴の手続が行われることになります。
本来であれば、被告人は、地方裁判所の手続のみで刑事裁判の手続を終えることができたはずであるのに、今後数か月の間、刑事手続に関与しなければならないという不利益を被ることになります。
あってはならないことですが、裁判手続も人間が行うものである以上、ミスは起こってしまいます。
皆さまにとっては、刑事裁判は縁遠いものかもしれませんが、国民として裁判が適正に行われているか関心を持つことが必要ではないでしょうか。
近時、日本でも民事裁判のIT化が進んできています。そこで、今回は民事裁判のIT化について紹介したいと思います。
【IT化が導入される場面】
裁判のIT化には、大きく分けて、
1.書類の提出の場面
2.裁判の日程調整等事件管理の場面
3.ウェブ会議等を利用した裁判手続の場面の3つの場面があります。
我が国では、3.の裁判手続のIT化が昨年から導入されました。
【裁判手続のIT化について】
裁判の手続は、基本的には双方の当事者が裁判所に出頭して行われていました。
ただし、当事者の一方が遠隔地にいるなど、裁判所に出頭することが難しい場合には、当事者の一方が裁判所に出頭し、他の一方が三者通話が可能な電話会議システムを利用して電話で裁判に参加するという手続も利用されてきていました。
昨年からは、このような手続に加えて、ウェブ会議システムを利用した裁判手続も行われるようになりました。
ウェブ会議を利用する手続の場合、当事者がどちらも裁判所に出頭しない形で裁判の手続を進めることができるため、コロナ禍が継続する現在では広く利用されるようになっています。
実際に私も遠方の裁判所の事件で、ウェブ会議を利用した裁判手続を経験しましたが、電話と違い、裁判官や相手方の顔を見ながら話をすることができるため、電話会議よりも意思疎通を図りやすいと感じています。
【IT化の今後】
近い将来、書類の提出や裁判の事件管理の場面でもIT化が行われることになるのは確実な状況です。
また、家庭裁判所の調停でもウェブ会議を利用した手続が導入されることになっています。
裁判のIT化は、効率的な裁判の運営や紙資源の節約などいいことずくめのようにも思われます。ですが、IT化を日本よりも先行して導入している諸外国では、ウェブ会議を利用して裁判手続を行うことができる事件であっても、裁判所に実際に出頭して手続を行うケースが多いという統計もあるようです。
IT化の良い部分とそうでない部分とを見極めながら、紛争解決に何が最も良い方法なのかを考えていかなければならないと思います。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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