滝川市立図書館スタッフがおすすめする『今がヨミドキ!』
3月の北海道は雪解けが進んできていますね。
でも、朝はまだマフラーや手袋などが手放せない時期です。
そんなときに、心が温まる小説を読むのはいかがでしょうか。
「木曜日にはココアを」
青山 美智子/著
宝島社
東京とシドニーが舞台になった、今頑張っている人の心を温かくする一冊です。
12作の連作短編なので、忙しい方もサクッと読むことができます。
「僕」が働く喫茶店に、必ず木曜日に来る常連客・ココアさん。ある木曜日、彼女はうつむいたまま涙をこぼします。ネイルの落とし忘れや、少女時代から始まったオーストラリア人との交流など、様々な人物の小さな出来事がつながって、最後に大切な人の命を救う物語です。
ある話に出てきた人物が違う話に登場することがあり、人と人は意外と身近なところでつながっていると感じられます。
また、それぞれのタイトルにある色は、物語の上で欠かせないものの色を表しています。例えば、家族を養うキャリアウーマンが作る卵焼きの黄色や、誰にも認められなくても絵を描き続ける女の子の緑色、などがあります。
手に取られたときは、物語の結末だけではなく色にも注目して読んでみて下さい。
一文が簡潔で、読者に語りかけているような読みやすい文体なので、普段あまり本を読まない方にもおすすめです。
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