そらちワイン×ワイン Festa
滝川市初! 100%滝川産ぶどうで造ったワインがこの夏登場!

▲高橋孝輔さん
北海道のワイン産地と聞いて皆さんはどこのまちをイメージしますか?おたるワイン?余市ワイン?それとも十勝ワイン?
実は滝川市のあるここ空知も、近年ワイン産地として盛り上がりをみせていることをご存知でしょうか?
今回は「ワインを作りたい」と、滝川市で2017年3月に新規就農したヴィンヤード「えべおつWein(ヴァイン)」のオーナー高橋孝輔さんにお話しを伺ってきました。
「えべおつWein」の「えべおつ」は、滝川市北部に位置する地名で「江部乙町」といいます。
とてものどかで、かつてはリンゴ産地として栄えた集落でしたが、醸造用のぶどう農園ができるのは初めてのこと。
この夏「えべおつWein」初リリースとなるプライベートブランドのワイン誕生秘話などをご紹介します。
ヴィンヤードとは、ぶどう園・ぶどう畑など、ぶどうを生産する農場のことです。

▲今年3年目を迎えたぶどうの木
東京で生まれ育った高橋さんは、学生時代から漠然と北海道で農業をしたいと思っていました。
大学卒業後一度は東京で就職したものの、両親が一足先に北海道へ移住したことで、その思いは日増しに強くなり、20代前半で移住を決め、両親の暮らす滝川市江部乙町へ。農業に関する知識はなかったそうですが「農業を始めたい!」と、関係機関や農家さんへ相談に回りました。
でも、「新規就農は厳しいよ」どこへ行っても同じ回答が続きます。
北海道といえば農業というイメージがあるわりに、農業をはじめることは簡単ではない。
資金のこと、土地のこと、技術の習得や研修など、現実は想像以上に厳しく、一度は諦めて道内で就職の道を選びました。
それでも胸のどこかに残る農業への思い。
就職をした数年後、北海道産ワインが伸びているというニュースを見ると、すぐにワイン造りについて調べはじめます。「原料の生産、加工、販売まで全て1人でできる、冬場の仕事もある、全部1人で取り仕切れる、自分が目指したいのはここだ!」と、高橋さんは再び農業の道へ進む決心をします。
まずは研修先を探しに、滝川市や近隣の市町をはじめ、北海道農業公社などにも相談したものの、そう簡単には見つからず時間だけが過ぎてゆきます。そんな中巡り巡って出会えたのが、余市町で<平川ワイナリー>を併設する<平川ファーム>でした。
将来的には醸造所も作りたいと考えていた高橋さん。
ぶどう農場での研修の合間に、ワイナリーの作業にも携わる機会を得られたのは、ワイン造りを始めるうえで本当に貴重な経験であり、研修先の方々や環境、どれをとっても最高の研修先だったと話します。

▲「えべおつWein」の農場
無事に農業研修を終えた高橋さんは、自分の農場を求め土地探しをはじめました。
研修を受けた余市町はもちろん、既にぶどう農園のある砂川市をはじめとした空知管内など、あちこち回る中で江部乙町の農家さんとの会話に心が動きます。
『昔は果樹地帯として栄えたんだが、どんどん衰退してしまっていてね・・・』
その話を聞いた高橋さんは「このまちの助けになりたい!もう一度果樹で江部乙町を盛り上げたい!江部乙でワインを作ろう!」そう決めると、江部乙町に絞って土地探しを進めたのです。
そして、地域の農家さんの協力もあり出会えたのが、江部乙町内にある元りんご園だった2.4haの土地でした。

▲今年収穫予定のぶどうの実。この日は8月上旬で、まだつぶも小さい。
いざ土地を借りてぶどう作りを始めた高橋さんですが、この土地に適したぶどうの品種がわからず苦戦したそう。
なんと言っても北海道有数の豪雪地帯でもある滝川市では、初の試みとなるぶどう農園。冬を越え、継続して収穫できる品種でなければ今後のワイン造りに繋げていけないというプレッシャーもありました。
研修先の平川ファームさんにも相談しながら、赤ワインの品種「ピノ・ノワール」「ツヴァイゲルト・レーベ」、白ワインの品種「シャルドネ」「リースリング」「ピノ・グリ」「ピノ・ブラン」「ミュラー・トゥルガウ」の苗木、全7種類を2016年に1000本定植し、2018年秋に初めて収穫の時を迎えました。

ぶどうを収穫したものの、まだ醸造施設のない高橋さんは、岩見沢市にある醸造施設「10R(トアール)ワイナリー」へとぶどうを持ち込みます。
こちらの「10Rワイナリー」は、北海道産の葡萄だけを原料に、高品質のワイン造りを目指しているカスタムクラッシュワイナリー(受託醸造所)です。
【10アールワイナリー】
地域のブドウ農家の皆さんが高品質のブドウを栽培し、
それを他所にはないワインへと創り上げていくお手伝いをすることを通じて、
ワイン産地としての北海道の潜在能力を最大限に引きだすことが私たちの目標です。※10RワイナリーHPより 10RワイナリーHPはこちらから
同じ醸造所で造っても、1つ1つ個性の違うワインが造れるよう配慮されたここなら、ワイン造りの相談をしつつ、自分たちらしさも生み出せる。
高橋さんは農場の仕事をしながら、10Rワイナリーへも通い、理想のワインを追い求めます。
この頃苗木は、当初の1000本から6000本へと数を増やし、面積も2haになっていたため、先に移住していた両親にも協力してもらって作業を進めていました。
この2haという面積が、1人でぶどう栽培を管理できる最大面積と言われているそうですが、苗木を増やしていく段階の高橋さんにとって、両親の助けは本当にありがたいと話してくれました。
こうして誕生したのが、この夏初リリースとなるオリジナルブランドワイン「 Regenbogen(レーゲンボーゲン)」です。
ドイツ語で「虹」を意味するこのワインは、初めて定植した7品種全てのぶどうをブレンドして醸造したことから7色の虹と、江部乙町を果樹で盛り上げる架け橋になればとの思いで名付け、限定300本を出荷予定としています。
自然な方法でワインを造ったので、鋭い酸味を落として、マイルドな酸味の中にフルーティーさも奥深さも楽しめる味に仕上がりました」と、新作の味わいについて説明。
ぶどうの糖度のみで仕上げたスッキリとした仕上がりで、アルコール度数も11度と少し軽めです。
「思っていたより大変だったけど、自分のやりたいことができた」という気持ちで胸がいっぱいと話す高橋さん。
現在は更に品種や苗木も増やしているため、単一種類でのワインの醸造も可能になってきますが、この7品種ブレンドした「Regenbogen」は、「えべおつWein」の原点として、これからも作り続けたいと教えてくれました。

こうした取り組みを聞きつけた移住希望者や、新規就農希望者から相談を持ち掛けられることが増えたと話す高橋さん。先駆者的存在として紹介されることに対しては少し微妙な心境の様子。
「今はまだようやく第一弾を発売できるというところに辿り着けただけで、自分で10年、20年やって初めてわかってくるのかなぁと思っているんですよ。実際この土地のことや、ぶどう作り自体まだわかってないことが多くって・・・。いつかは醸造所も作りたいと思っていますが、まずは品質のいいぶどうを生産して、収量をあげていくことを目標に1歩ずつ頑張ります!」と、やさしい口調で話す高橋さんのサングラスの奥には、この農場をいつかワイナリーとして熟成させることを見据えた、強さも感じる瞳が輝いていました。
※現在市内の量販店・酒店での取り扱いはございません。
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