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中・北空知人脈駅伝

北菓楼 HORI 藤田 勲 さん

株式会社 北菓楼  執行役員管理部長 藤田 勲さんをご紹介します。

第6回

第6回目は、株式会社 北菓楼の執行役員管理部長「藤田 勲」さんです。前回ご登場いただきました、「ブランシュ・ネージュ」オーナシェフの瀬川健一さんから、「旭川のお店時代からのお付き合いで、同じ深川出身のとても素敵な方です」とのご紹介を頂いています。
それでは藤田さん宜しくおねがいいたします。

――株式会社 北菓楼の執行役員管理部長という肩書をお持ちですが、ずっとこちらで従事されていらしたのですか?
いいえ、私が高校を出て最初に就職したのは、岩見沢の北央ヰセキでした。
機械の事も農業も全く分からないものですから、兎に角少しでも早く色々な事を学ぼうと、人の嫌がるような仕事は進んでやりました。面倒な事や嫌な事は避けて通りたいのが普通ですが、私はそんな時こそチャンスだと思って進んでやるようにしてきました。
自分にとっては人より先に技術や知識、経験を得られるチャンスだと思っているからです。
自然と向き合い、物言わぬ植物が相手の農業は、時には孤独で体力的にも過酷で厳しい世界です。だからこそ農家の方たちは、家族や仲間との絆が強く、助け合い日々良い作物を作ることに努力していらっしゃいます。農家の方の生産者としてのこだわりや、消費者への思い、また日々進化する機械化への対応や技術の習得など、仕事に対する姿勢からは多くの事を学ばせていただきました。今の自分があるのは、その農家の方々のお陰と言っても過言ではありません。

34歳で所長になり、気が付けば38歳になりあっという間に20年が経っていました。
ある時、この方たちが丹精込めて作り上げた農産物に更に自分が付加価値をつけられないだろうか?何か恩返しがしたい、そう考えるようになったとき、運よく美唄農産物高度利用研究所で求人があったのです。そこで採用していただいたのが、このホリグループに入社するきっかけです。
夕張メロンに更に付加価値を付けるべく、ジュースやゼリーに加工するという仕事です。1年ほどその仕事に携わりました。
その後、平成2年に砂川に呼ばれ、翌年の北菓楼オープンに向けて今は亡き堀均会長の指導の元、ゼロからのスタートを切ったのです。何度も何度も試行錯誤を繰り返すも、なかなか会長は首を縦には振ってくれず、本当にオープンできるのか不安でなりませんでした。

早朝の会議は必須 常に企業の向上と商品の開発に努めています

店舗にも立たれる藤田さん
店舗にも立たれる藤田さん
――ようやく迎えたオープン当初の様子をお聞かせください。
何とかオープンの日を迎えました。
当初のスタッフは10名。私がヰセキに入った時と同じで高卒、経験ゼロの社員が6人。
会長からは8割しか納得を得られないままのスタートで、残り2割は私に課せられた課題でした。
自分で納得できないものは決して店頭に並べてはいけない、今日の味は深みがないとか、キレがないとか、日々会長の試食でダメ出しが出るのですが、そのような会長の妥協をゆるさない志に自分も共感して、そこを目指したいと無我夢中でした。
スタッフには厳しく指導した時もありましたが、若い彼らはよく頑張ってついてきてくれました。
均会長は北菓楼を創るにあたって「北海道の素材・作り方・味にこだわって、北海道一の菓子屋になる」という夢をもっておられ、そしてそこで働く若い社員個々の夢を叶える為にも、北菓楼を絶対成功させなければならないと思っていました。背負うものが大きければ大きいほど常に目標に向かって突き進むエネルギーが沸き上がり充実していましたね。

――その後着々と北菓楼はお客様を増やしてきましたが、その秘訣は?
平成4年に新千歳空港が新しくなり、そこでシュークリームを販売し始めると、各航空会社のパーサーや客室乗務員たちから大変な人気を得て、その流れで砂川ハイウェイオアシス館に観光バスが立ち寄る際には口コミでお客様がどんどん増えてきました。観光シーズンが終われば客足が遠退くので、その当時冬は五番館、三越、そごうと催事に月2回朝早く社員を連れて札幌まで通いましたね。沢山試食していただいて、納得して買っていただく。そして口コミでお客様を増やす。その積み重ねで平成8年に現在の本店ができました。
元来先代の社長と均会長、現社長は毎朝5時頃から商品開発等の会議をされていました。
先代が亡くなり、会長、社長になった頃には我々役員も参加して毎週2回の役員会議、ヒット商品会議などを6時半から欠かさず行っております。東京営業所、札幌本部ともテレビ会議を行っています。今では約600種類の商品がありますが、以前は会長、今は社長が抜き打ちで試食をします。そこでOKが出ないものは店頭には並びません。
毎日何回も製造される商品ですが、その度に試食をして、厳選されたものだけをお客様に提供しています。
お菓子は試食した時が最高の状態ではだめです。何時間か後、賞味期限内に食べたときにベストな状態でなければならない、その見極めが少しでも甘ければ良いものをお届けできないのです。
お菓子は人に笑顔を届けますよね。大切な方へのご挨拶に贈ったり、記念日に食べたり、気持ちを伝える時に美味しいお菓子を添えて差し上げたりと特別な意味を含んでいます。その大事な瞬間に最高のものを届けたいというのが、我々北菓楼全員の思いです。
その為には、その仕事に携わる社員も幸せでなければ良い仕事はできません。
すなわち北菓楼が一番大切にしているのは社員なのです。

社員を大切にしてこそ良い商品が生まれる

ヒット商品の数々
ヒット商品の数々
――グループ全体で従業員400人以上の大企業ですが、組織が大きくなると上司と部下との関わりが希薄になるのではと思うのですが。
いいえ、我社では毎月約30名に、上司が頑張っている部下を推薦して会社から金一封を贈るんです。社員全員が対象です。
その他正社員・パート皆に研修や旅行の労いもあります。

――上司が自分をきちんと見ていてくれる、評価してくれていると思うと、嬉しいですし、仕事に対するモチべーションも上がりますね
その他上位数名は、アメリカ研修に参加できるというチャンスもあります。また、毎年「最優秀社員賞」に選ばれた約15名による海外研修も長年続けています。こうした海外研修からは学ぶことも多く、とても刺激になります。
わが社では、社員一人ひとりが高みを志し、夢をもって仕事に取り組めるように人材を大切にしています。社長が始めた「クレド」(ラテン語で志・信条・約束を意味し、従業員が心掛ける企業信条)は全員が携帯していますし、会長が日々口にしていた「会長語録」は、役員全員が心の中に持って、企業が一丸となって同じ方向を目指しています。
均会長が北菓楼設立当初から持ち続けていた、「いつかは札幌に路面店を出す!」という夢は、今年3月に25年かけてようやく実現することができました。
大正15年から市民に親しまれてきた札幌中央区の北海道立文書館別館を譲り受け、歴史と趣のある素晴らしい建物が北菓楼札幌本館として生まれ変わったのです。

北菓楼が生まれたての頃から、ずっと変わらぬご愛顧をいただいているお客様が数多くいらっしゃいます。
自分が札幌の催事でお世話になり、その後日本各地に引っ越されても、北菓楼をごひいきにしてくださっているお客様なども、この札幌本館の誕生をとても喜んでくださっていて、そのように自分と一緒に北菓楼を育ててくださったお客様がいることが何よりの喜びです。
そして私がお客様から可愛がっていただいたように、私の部下たちも可愛がっていただけていることが、とても嬉しく感じています。
これからはその受けたご恩を少しでも返していきたいと思っています。
100キロウォークは5回完歩!<br>お孫さんとツーショット
100キロウォークは5回完歩!
お孫さんとツーショット

あとがき

まず初めに、北菓楼の本社に足を踏み入れた瞬間、ロビーで商談中の社員の方が起立して「いらっしゃいませ!」 その後オフィスのドアを開けると大勢の社員全員がまたもや起立して「いらっしゃいませ!」
あまりの歓迎ぶりに感動しながら応接室に案内されました。
その事を藤田さんに告げると、「均会長の方針なんです。このような地方のアクセスの悪い当社へわざわざ足を運んで頂けることへの感謝の気持ちです」とのこと。
女性社員のお茶の出し方や細々とした所作がとても丁寧で美しく、おもてなしの教育が行き届いた素晴らしい会社だと感心しました。よく伺うと経済産業省主催のおもてなし経営企業選に選出されていると知り納得です(グループ会社のホリ)。
藤田さんもよく部下を連れてお食事をされるなど、コミュニケーションをはかられているそうで他のスタッフとの会話からも、社内の良い雰囲気が伝わってきます。
私達が大好きな北菓楼の銘菓は、素晴らしい企業理念の基、多くの方々の弛まない努力と厳しい管理のもと生まれている事を知り、更に北菓楼のファンになりました。
御年67歳になられ、同居するお孫さんの為にも、いつまでも元気で色々なことに挑戦する姿を見てもらいたいと、毎年100キロウォークに参加、そして完歩すること5回!
いつまでも健康で頑張ってください! 今日は素敵なお話をありがとうございました。

次にバトンをつないでいただける方は?
とお聞きしましたら・・・・昔からの北菓楼のお客様であり、異業種でありながらも互いに情報交換してきた20年来のお付き合い、滝川市 株式会社MKアシストの橋本さんをご紹介して下さるとのこと。次回もお楽しみに・・・